エンザート エンザート参考資料 

エンザートは機械的強度の低い相手材のねじ部を補強する目的で使われます。
ねじ軸力をエンザートの外ねじ部の母材が支えるため、直タップねじより相手材の強度をより多く引出すことが出来ます。
エンザートを使った補強は相手材個有のせん断強さ又は使用するボルトの機械的強さが限界となりますが、エンザートそのものが破壊することがありません。
少々のねじの締め過ぎでねじバカを起し易い樹脂材は多少オーバーな締付けトルクにも十分耐えるよう補強することが必要です。又ねじ締めと緩めの繰り返しによってねじバカを起し易いアルミ合金等はボルトの許容荷重にも耐られる補強が求められます。
エンザートは上記の要求を十分に満す性能を備えています。
[引抜き強さ]
■アルミ鋳物

エンザートの引抜き強さはボルト(8.8T)の許容荷重より高いことを示します。
■プラスティック

エンザートは樹脂に対しても高い引抜き強さを示します
図は代表的な熱可塑性樹脂に対する引抜き強さを示します。
[強度計算]
相手材のせん断強さが分かれば下の式を使ってエンザートの引抜き強さの簡易計算ができます。
上記の計算値から締付け最大トルクの計算ができます。
■トルク係数
エンザートの外径ねじ部と相手材
平均値(M3〜M6)
アルミ合金(全乾) 0.3167
テフロン 0.079
ポリエチレン 0.1675
ナイロン 0.2569
ベークライト 0.3666
但しエンザートは302型炭素鋼製。六角ボルト、ワッシャー無。

トルク係数はエンザートの呼び径、ボルトの座面の形状、ワッシャーの有無、潤滑剤等で変動します。
■トルク係数(K)の計算式

代表的な相手材とエンザートのタイプ
相手材に適したエンザートのタイプを選ぶことはエンザートを効果的に使う重要なポイントです。
下記は一般的なガイドとして参照して下さい。
[金属材料]
■鋳鉄
快削性のある鋳鉄は炭素鋼製の302型を使用下さい。
タップオイル又は切削油を使用すると効果的です。
ステンレス製エンザートは相手材を十分切削できない場合があります。
■軟鋼
炭素鋼製の307/308型をタップオイルを使って使用して下さい。
硬度の高い鋼材は加工が困難な場合があります。
■アルミ鋳物
炭素鋼製の307/308型をタップオイルを使って使用して下さい。
硬度の高い鋼材は加工が困難な場合があります。
■アルミ型材
熱処理の有無や切削性を確認し難削材や高強度材は307/308型を使用して下さい。
■アルミ鍛造品
超高強度アルミ鍛造品には通常使用不能です。
敢えて使用する場合は下穴を出来るだけ大きくし、エンザートの長さの1/2〜2/3程度の前タップを切る必要があります。
■アルマイト処理したアルミ
硬質酸化処理をしたアルミ合金にはエンザートの使用は困難です。下穴の硬化部分を取り除くか、タップを併用すれば加工が可能です。
■ステンレス鋼、焼入れ鋼
通常はエンザートの使用は出来ません。
[プラスティック]
■可塑性の高い樹脂
塩ビ、デルリン、ABS等には302型又は305型を使用下さい。
305型は切粉が出ません。
■硬く割れ易い樹脂
ポリエステル、エポキシ、ポリカーボネイト、FRP等には307/308型を使用して下さい。
[木材]
■軟質木材、パーティクルボード
309型をめねじ塑性成形式で使用して下さい。
■硬質木材
302型又は309型を使用して下さい。

エンザート専用タップ(三つ穴用)
307/308型等三つ穴タイプのエンザートの外径ピッチに適合したエンザート用タップです。
難削性のアルミ材や鋼材に一部タップを施すとエンザートが入れ易くなります。
ステンレス鋼等の難削材程深くタップを切る必要がありますが少なくとも最後の2〜3山は必ずセルフ・タップで追込みエンザートを相手材にロックさせて下さい。
タップのねじ部は各サイズとも喰付き部を除いて10ピッチに統一されています。
タップの深さを分り易くするために5ピッチ目に目印が付けてあります。

エンザートはK・K・V・コーポレーションの製品です